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人間科学研究所とは

これからの組織の人材教育のあり方

どこの職場も人間関係は冷え切っている

なぜ今、こんなにも職場やそこで働く人達が「やる気がなく」「暗く」「冷え切っている」のか、それは、この社会は誰一人として例外なく「人と人の関わりで成り立っている」という大原則を忘れてしまったから、に他なりません。

組織は人数が多い少ないに関わらず、一人一人の人間の集まりです。
組織の中にいる一人一人の持っている個人の資質がよりよく発揮されてはじめて組織は活性化しはじめます。

では、「活性化している」とは、どういった状態でしょうか?
それは、そこで働く社員一人一人が本当に「支えあい」「励ましあう」雰囲気である、ということです。
隣にいる人との絆がしっかりとある、と心底感じることができることです。

今は、どこに行っても「人間関係が希薄で・・・」という事を言われます。
そして社長多くが「うちの社員はコミュニケーション能力が低くて・・・」と言います。
企業の人事担当者はとにかく「コミュニケーション能力の高い人を」と言います。

しかし、「コミュニケーション能力」とは一体どういったものでしょうか?
アメリカ人のように顔を合わせたら「ハロー!」とにこやかに話しかけ、とにかく声をかけあい、抱き合い、オーバーなリアクションを表現することがコミュニケーション能力が高い、ということではありません。

私たち日本人はそもそも、西洋とは異分化を持つ民族です。

アメリカ人は、夫婦でも家族でも常に「愛してるよ」「大好きだよ」「きれいだよ」と声に出して、プレゼントをして形に表さなければその対人関係がうまくやっていけない社会です。
「私はあなたに敵意はないですよ」ということをわざわざあえて口に出さなければストレスがたまっていく社会、そして民族なのです。

それに比べて私達日本人は違います。
「相手の気持ちを察する」
「相手の気持ちを慮る(おもんばかる)」
という声に出さなくても「分かり合える」といった世界中どこを探しても見つからないほど特異な性質をもった民族なのです。

また、自分の気持を伝えることに対しててストレスを感じてしまう民族、それが日本人なのです。

「言わなくてもわかってほしい」
「気持ちを汲み取って欲しい」
「表情から感じ取って欲しい」

これは恐らく世界中どこを探しても日本人だけ、なのではないでしょうか。

それは「良い」「悪い」の問題ではなく、民族の違い、なのでどうしようもありません。

しかし、残念ながらもうすでに日本人は、
「察する」
「相手の心を汲み取る」
「空気を読む」
「場の雰囲気を壊さない」
「表情を見たらわかる」

などといった日本人だけが持っていた高度なコミュニケーション能力があきらかに低下しています。

日本の経営者は感情や心といったいわゆる情緒的なことを否定し、論理的、かつ理性的に判断していくことを主としてきたように感じます。
いわゆる「知識を理解し、処理していくこと」を加速させてきたように思います。
もちろん戦略的思考を学ぶことや、論理的な判断ができることは必要なことです。
しかし、問題なのは、知識が増えれば増えるほど、それぞれの人間からあふれる直感力や発想力、そして感じる力を失ってしまっていった、ということです。
人間とは、非常にバランスの取りにくい生き物です。

ぱっと人に会った時、「何かおかしい」「違和感を感じる」
そして「これは正しいこと」なのか「おかしいことなのか」
など一瞬にして見抜く力、これなどはまさに「直感」のなせる業です。

そして人としてどういった行為が、人が美しいのか、また醜いのか、
一目見て感じて分かってしまう力、それもまた「直感」です。

生き抜く力として人間に備わっていた直感力が失われると、私たちは一生迷いながら与えられる情報に操作されながら苦悩の人生を送ることとなります。

自分の軸、となる「感じる力」が失われてしまった時、その人の中から「やる気」があふれてくることはありません。

会社を経営するには、こういった「人はどういう時に自らやる気になるのか」というメカニズムを知っておく必要があります。

また、これからの会社経営に必要なのは、
「人と人との繋がり」そして「絆(きずな)」です。

一緒に働く人を支えあい、励まし、敬う気持ち。
「私もそう感じる」という共感しあえる関係。
「言わなくてもわかっている」という阿吽の呼吸、そして強い仲間意識。
私たちが生きている人間社会には空気を吸うように当たり前に必要なもの。
それが日本人だけが持つコミュニケーション能力、です。
そして、その能力は今こそ、日本の企業には絶対に必要なのです。

絵に描いた餅、理想論だとお感じになりますか?

「そんなことはわかっているけど、実際は大変なんだ」とおっしゃるお気持ちもわかります。

しかし、実際に、職場の人間関係を徹底的に改善し、絆作りをすすめ、組織としても潤いはじめている、という会社も実際に数多くあります。(→事例紹介)

冷え切った組織の中で働く社員の心は堅い堅い殻にこもっています。
殻が厚くなった社員の心は、もうこれ以上傷つきたくない、という意識が働きますので
ますます自己保身に走ります。
自分さえよければいい、その場がよければいい、ということです。
仲間や上司の言うことは素直に聞けず、無関心を装い、仲間と協力して働く、という意識などは到底持ちえません。
冷え切った組織の中では、そんな冷え切った社員が1人2人、そして3人とどんどん増えていくのです。
感情は鐘の如くそのまま相手に移ってしまうのです。
雰囲気の連鎖といいましょうか、悪い空気が社員を覆い始めます。